フラフラ

フラフラで
あたしはフラフラで地下鉄に揺られていた
フラフラに酔っていた
自分が手にしている鞄の革の臭いや揺れや思考や赤ワインやカルーアやビールに酔っていた
哀しくて切なくて途中で地下鉄を降りた
電話をかけたのは男友達
仕事終わって送迎中だって言うから、今すぐ来て！と喚く。無理を言う
でも奴はそれに応じてくれる
家のほうで待ってろと言われ次の地下鉄を待つ
感情が湧いてきてわけの分からん涙が出そうで次の奴に電話
あたしは酔ってんだけどトイレに行きたいんだよ。でも改札を出ないとトイレには行けないんだよ。今日ある男に後ろから抱きつかれてやられそうになったんだよ。あたしは寂しくて空っぽだけど、やんなかったよ。つーかあいつとは無理なんだけど。
地下鉄に乗り込んだあたしの目に映る窓越しのあたし
ああ空虚だね虚無感いっぱいの顔だね
自分ちの駅に着いてトイレで化粧直ししながら、涙出てますけどなんてノリ
寒い風に吹かれ奴を待つ
具合が悪いんだってば、酒飲みすぎてやばいんだってば早く来いよとかむかつきながらも送ったメールはか弱い
こんな事1年前もあったんだよ、その時あたしは彼を呼んだんだ。そして好きになっちゃったんだけど。でも今は彼を呼べないから奴を呼んだんだけどね。
お前香水つけてるから車に乗せないとか言われてくそ寒いのに外で絡む。愚痴る。
あたしはね不安なんだよ。あたしは生きたくないんだよ。でもそれは死にたいってのとはイコールじゃないんだよ。無意味だよ。
でも今は生きて解決したい問題があるんだよ
ああ人肌恋しいよと思うけど奴の体温は欲してないのが充分すぎるほど分かるよ
なのにあの男ときたらあたしの惚気トーク散々聞かせてやった直後手だしてきやがった
ああきっとあたしは生きるよこれからも
でも大切なものは哀しいほど脆い失えばなんだって美しいってシロップも言ってたじゃん。
美しいものは求めないけど脆いものは怖いよ
酒なんて飲んだらこんな感じ